現象が出ないトラブルこそ腕の見せ所。スズキ・キャリイ（DA65T）修理事例に学ぶ「問診の重要性」

こんにちは、**長崎県諫早市の中古車販売・整備の専門店「株式会社Ari・L（アリエル）」**です。
今回は実際に当社に入庫したスズキ・キャリイ（DA65T）の修理事例をご紹介しながら、整備業における「問診の重要性」と「現象が出ないトラブル対応の難しさとやりがい」についてお話しします。

中古車販売・整備事業の魅力は、「お客様の大切な一台を、責任を持って長く快適に乗れるよう支えること」にあります。その一端として、私たちが現場でどのようにトラブルと向き合っているのか、少しでも伝われば嬉しいです。

◆エンジン不調で入庫。キャリイは“クセがある”からこそ注意深く

今回ご入庫いただいたのはスズキの軽トラック「キャリイ（DA65T）」。
整備士の間では“ちょっとクセのある車種”として知られており、トラブル事例も少なくありません。

お客様からのご相談内容は、

「発進時にアクセルを踏んでもエンジンの回転数が上がらず、スピードが出ない」

というものでした。これは一見して深刻そうに聞こえる不具合ですが、実はこの段階では現象がまったく出ていないというのが整備士にとって一番の悩みどころです。

◆症状が出ない＝診断が進まない…「問診」がカギ！

現象が確認できない状態では、いわば「山勘」で点検を進めていくしかありません。
特に今回のキャリイのように、過去にさまざまなトラブル事例が報告されている車両だと、点検箇所が多岐にわたってしまいます。

まず最初に行ったのは、お客様への再度の問診です。
お話の中から以下のようなポイントが得られました。

この情報から、「全気筒での不具合」や「ISC（アイドルスピードコントロール）バルブの不調」の可能性を疑って、診断を進めました。

◆原因候補1：スロットルボディとISCの動きに違和感…

まず疑ったのは、ISC（アイドルスピードコントロール）バルブ。
キャリイでは、ここが壊れやすいことで知られています。
単体での点検を行うと、「動きが少し引っかかる」ような違和感がありました。

ただし、この段階では「決定的な故障」とは言えない、非常にグレーな状態。
一旦スロットルボディを分解し、先端部の清掃を慎重に実施しました。

※補足：この型式のキャリイは、スロットル清掃にキャブクリーナーを使うと高確率でECU（エンジンコンピューター）が壊れます。経験の浅い整備士は要注意です！

◆原因候補2：フューエルポンプとフィルターをチェック

次に、燃料系統を確認。
キャリイではフューエルポンプも壊れやすいですが、今回のケースではフィルターの詰まりを疑って外してみました。

結果としては、目詰まりも見られたものの、症状が出るほどの詰まりではなかったため、こちらも「原因とは言い切れない」グレー判定。

◆そして突然、試運転中に現象発生！

数日が経過しても症状は再現されず、再度試運転を行ったところ…ついに現象が出ました！

このとき、お客様から再度問診を行ったところ、
「走り出しの時にだけ症状が出て、エンジンが温まるとだんだん調子が良くなる」
とのコメントが。

◆“点と点”がつながった瞬間…原因はやはりISC！

この段階で、点と点がつながりました。

「始動直後の不調＋発進時の全気筒トラブル＋徐々に改善」＝
ISCの制御不良によるアイドル補正の失敗が原因と判断。

早速、ISCバルブを新品に交換。その後の試運転では不具合が完全に解消され、お客様にもご安心いただけました。

◆整備士の“推理力”と“お客様との対話力”がものを言う仕事

今回のケースから改めて感じたのは、問診の大切さです。
整備士は医者と同じで、“症状の聞き取り”＝正確な診断の第一歩。
現象が出ない時こそ、どれだけお客様から情報を引き出せるかが勝負の分かれ目です。

また、整備の現場では「直感」や「経験」も重要ですが、確かな知識と丁寧な説明があってこそ、お客様からの信頼につながります。

◆株式会社Ari・Lは「諫早の町医者」のような存在を目指します

私たち株式会社Ari・Lは、地元・長崎県諫早市を中心に、中古車販売・車検・整備・故障診断を手がけています。

車の調子が悪いと感じたら、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
「なんとなく変」「ちょっとおかしいかも」――その感覚が、重大なトラブルを未然に防ぐヒントになることもあります。

私たちは、車の“かかりつけ整備士”として地域の皆様に寄り添える存在でありたいと考えています。

◆お問い合わせ・ご来店お待ちしております

株式会社Ari・L（アリエル）
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ご愛読ありがとうございました。次回も実際の整備現場から、リアルなトラブル事例や豆知識をお届けいたします！

2025/06/19 18:46